こんにちは。しょぼいサラリーマンの豆作(マメサク)です。
これからの日本がどんなふうに変わっていくのか想像したことはありますか?
今現在、僕と同世代である30〜40代の人の未来ってどんな感じでしょうか?
今回紹介している著書『シン・ニホン』を読むと、日本の未来が少し見えてきます。
少し前までの日本は人口増加に伴って増える需要とその需要に応える大量生産・大量消費の時代でした。
それは僕たちの先輩たち世代(もうすぐ引退もしくは引退した世代)が活躍していた時代です。
戦後からすごい勢いで成長してきました。
右肩上がりの良い時代でした。
工業が中心でどちらかといえば、テクノロジーはアナログ的だったかと思います。
しかし、これからの時代はそんな古き良き時代のアナログ的テクノロジーから、デジタルテクノロジーに変換していきます。
そして、テクノロジーの成長スピードは指数関数的なスピードで進化していくと言われています。
そんな時代が変わる転換点を僕たちは現役世代として生き抜いていかないといけません。
著書『シン・ニホン』を読んで
『シン・ニホン』は2020年に出版された比較的新しい本です。
慶應義塾大学 環境情報学部教授
東京大学大学院生物化学専攻修士課程終了後マッキンゼー入社。
イェール大学脳神経科学プログラムに入学。
ポスドクを経てマッキンゼーに復帰。
その後ヤフー株式会社 CSOに就任。
データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長
内閣府総合科学技術イノベーション会議基本計画専門調査会委員
官民研究開発投資拡大プログラムAI技術領域運営委員
数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会副座長
経歴が凄すぎて何だかよく分からないですけど、著者の安宅さんは戦闘力がめっちゃ高い人だということは理解しました。
そんな著者が『シン・ニホン』で伝えたいことは「AI×データを使って日本を復活させよう」というものです。
しかし、現在の日本はAI技術を含めたICT関連における技術力について、様々な点で主要国からは何周遅れにもされている状態だということが書かれています。
これは、表立って僕たちには明かされていない不都合な真実です。
もはや、追いつけないレベルです。
だったら、著者はこれから日本は「AI-ready」の状態を目指すしかない。そこに勝機がある。ということを本書で述べられています。
「AI-ready」とは今からAIを開発して世界をリードするなんてことは諦めて、世界が開発してくれるだろうAI技術を導入した後のことを考えようということです。
要は、他国の技術を頂戴して、より良いものに改良し、効率よく利用しながら、もう一度復活しようというわけです。
戦後の日本が歩んだ道をもう一度歩もうということです。
新しく技術を生み出すよりも、こちらの方が、むしろ、日本の得意な戦略だと書かれています。
まったくもって同感です。
しかし、「AI-ready」といえど、今のままではそれすらもままならないと著者は言います。
その理由は、一言で簡単に言えば世界に比べて「ほぼAI無知」+「未来へ投資をしない」からです。
つまり、
- これからの世代に対して深層学習(AI技術の一部)を教えられるだけの教育ができていない。
- そもそも理解している者が少ない。
- 優秀な人材が日本を離れていく。
- 大学に財源がない。
- 科学技術に対する予算も少ない。
- 未来ではなく社会保障に予算が投入されている。
というわけです。
詳しくは本書を読んでもらうと、日本の厳しい現状が理解できます。
しかし、そんな「ないないづくし」の日本ですが、本書に書かれている著者が提案している通り、現状の予算の使い方を少しだけ改め、未来へ投資することを始めれば、これから社会に出てくる若者たち世代によって「AI-ready」自体は実現可能だという希望も述べられています。
30〜40代が生き残るための戦略を考える
では、「AI-ready」どころか「AIって?」レベルの僕たちの世代はどうすれば良いのでしょうか。
僕は『シン・ニホン』を読んで、僕たちの世代は以下の2つの戦略を立てて生き残るしかないと思いました。
AI-ready化しても、若者たちの邪魔にならないように今から勉強しておく
AI-ready?、データ利用?・・・そんなん知らんわ。
これだと将来、ただの邪魔なおじさん・おばさんになってしまいます。
だからと言って、今から深層学習を本気で学んだり、データサイエンティストを目指したりするなどできそうにありません。
じゃあ、どうしたら良いのか。
『シン・ニホン』では【AI×データ】の基礎は「数学と統計素養」だと書かれています。
だから、僕たち世代が今できることと言えば【AI×データ】の基礎を学んでおくということです。
具体的には、
- 分布・バラつき、確率的な概念(数Ⅰ、数B)
- 数列(数B、数Ⅲ)
- 空間座標(数B)
- 線形代数の基礎、ベクトル、内積(数B)
- 微分・積分の基礎概念(数Ⅱ)
これらを理解しておくと良いというわけです。
数学から離れて時間の経っている者からすれば厳しい内容です。
しかし、何もしなければ、未来の自分はもっと厳しい状態に置かれているかもしれません。
だったらやるしかないのです。
米国に投資して自分の資産を守る
本書には「米国に投資をしよう」なんて一切出てきません。
これは、『シン・ニホン』を読んで僕が強く思った感想です。
日本の人口は減少します。未来への投資は少ないです。国債で社会保障をまかなっています。
日本の未来が、今よりも豊かにならないと国債の返済はできないことは自明の事実です。
人口減少が止まらないうえに未来への投資が少なくては、国債を返済できるような明るい未来を具体的に想像することはできそうにないですね。
「国債が返済できないのでは?」と世界から判断されてしまうと、日本の信頼度が地に落ちてしまってハイパーインフレーションになってしまいます。
つまり、日本円の価値がなくなってしまいます。
「価値」という点では、さらに嫌なことに、本書では著者の米国の友人から「日本はG7で初めて引退した国になった」と言われ始めていると書かれています。
このフレーズは強烈です。
それに比べて米国は人口は増加しています。未来への投資は桁違いに多いです。大学の財源も潤沢です。ますます成長していくことはこれらの数字が証明しています。
著者は本書で「日本を復活させよう」と述べていて、そのことには大いに賛成です。
でも、大変申し訳ないのですが、これからの日本については、明るい未来よりかはどちらかと言えば右肩下がりな日本が濃厚のような気がしてしまいます。
ですので、お先の暗い場所に大切な資産を置いておくということは、リスクがあるとも考えられます。
だったら、未来の明るいところに資産を移してリスク分散しておく方が安全と言えます。
自身の資産ポートフォリオを考えるうえで、米国のウエイトを大きくしておくことが、この先の時代の変換点を生き抜く戦略として、ひとつの「正解」なのではないでしょうか。
(あくまで、このことは本書を読んだ個人的な感想なので、米国に投資することを勧めているわけではありません)
おわりに
『シン・ニホン』は、2020年のビジネス書大賞受賞や読者が選ぶビジネス書2021年総合グランプリ受賞と、けっこう世間をザワつかせている本です。
世間の評判通り、著者の「このままでは日本ヤバい」っていう強い思いが、データを使って証明しながら警鐘を鳴らすというハンパない説得力で読者を本当の日本の姿に引き込んでいきます。
これからの時代の潮流である「AI×データ」から読み解く、日本の立場とその未来について「不安と希望」がしっかりと見える良書でした。
こんなに読了後に「さて、じゃあ僕は何から始めよう?」って真剣に考えさせらた本は他にはありません。
実際にこの本を読んで、上述したように僕は2つの基本戦略を実行する行動に移りました。
読む人によっては、全く違った行動に移る人もいらっしゃるのではないでしょうか。
それほど説得力のある本です。
これからの日本と自分の未来を考えるためにも、ぜひ、読んでみてください。