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【進撃の巨人】は大人が読むと、ビジネスマンに人気の【孫子の兵法】に共通するリーダー像が学べるので面白い!
【進撃の巨人】と【孫子の兵法】を読んだことはありますか?
僕は【進撃の巨人】については名前こそよく耳にしていたのですが、 恥ずかしながら2020年の夏まで手に取ることはありませんでした。
手に取ったきっかけは、アニメを数話見てしまったことが始まりです。
「えっ!?何これ?めちゃくちゃ面白い!!」って圧倒的な衝撃を受けました。
そして、我慢できずにすぐに Amazon でコミックを大人買いです。
僕が若かった時に読んでいた漫画(ボールを7個集めるやつとか指先から霊気の球を飛ばしたりするやつ)は、ただ面白いだけでしたが(それはそれで楽しい)、最近の漫画は本当によくストーリーが練られているので読み解くことが難しいです。
伏線がしっかりはられていたり、見逃してしまいそうな一コマの挿絵に作者のメッセージが込められていたりなど、漫画にしかできないであろう技術を駆使して読者を魅了してきます。
親に「漫画ばっかり読んでないで勉強しなさい」って言わても、もはや勉強しているに等しいと言ってやってもいいんじゃないかと思うくらい読解力と洞察力が必要です。
そんな最近の漫画の中でも、この【進撃の巨人】は傑作だと思います。
【進撃の巨人】には、魅力的なキャラクターがたくさん登場します。
その魅力的なキャラクターの中には、その言動や行動からカリスマ的なリーダーシップを発揮するキャラクターがたくさん登場します。
そのキャラクター達から、僕はリーダーの姿が学べると思いました。
そして、そのリーダーの姿が【孫子の兵法】で示されたリーダーの姿と重なるのです。
それでは、ちょっと紹介していきます。
「進撃の巨人」について
「進撃の巨人」は別冊少年マガジンに連載中の漫画で累計8500万部を超えている大ヒット漫画です。
作者は諌山諫創(いさやまはじめ)で「進撃の巨人」で2009年にデビュー。
〜「進撃の巨人」のあらすじ〜
人間を捕食する謎の巨人から逃れるため、人類は壁の内側で生活をしている。
壁の内側にしか人類の生存領域はないものの、壁内では巨人の驚異が及ばないため平和な環境であった。
そんなある時、人類の常識では考えられない大きさの超大型巨人が壁の外側から壁の内側を覗き込み、壁内人類は凍りつく。
そして、壁が打ち破られてしまう。
人類の生存を賭け、唯一人類で巨人に対抗できる部隊である調査兵団と巨人との戦いが始まる。
圧倒的な絶望の中から物語が始まり、この絶望に果たして終わりは来るのか。
巨人の正体とは何か?巨人はどこから来るのか?なぜ壁の中にしか人類がいないのか?人類とはなんなのか?
巨人と戦いながらその「謎」に向き合い、多くの犠牲を出しながらも、少しずつその謎が解き明かされていく。
「進撃の巨人」は絶望的な状況下における人間の心情がリアルすぎるくらいに描写された漫画の域を超えた最高の作品です。
「孫子の兵法」について
「孫子の兵法」とは紀元前500年頃の中国の軍事思想家の孫武(孫子は尊称)の兵法書とされています。
「孫子の兵法」は兵法書であるので、戦争に勝つための理を全十三編に記したものです。
なぜ、現代においてこの「孫子の兵法」がビジネスマンに人気の書物なのかというと、ビジネスが戦いであるとするならば、この「孫子の兵法」で言うところの「戦争」を「ビジネス」に読み替えることで現代でも通じる理が書かれたビジネス書になるからなのです。
「孫子の兵法」は、戦いの最重要な根本を説いたものなので、今も昔も普遍の道理なのです。
ビジネスマンなら読んでおくべき良書だと言えます。
ただ、原文を現代語訳したものではちょっと難しいので、現代風に超訳した本がたくさん出版されています。
原文の現代語訳と併せてそちらも読んだ方が内容が分かりやすいと思います。
このブログ記事の構成
さて、「この記事の構成」とか大そうな見出しを書きましたが、これから、僕なりに【進撃の巨人】と【孫子の兵法】が「一致」しているなと解釈できたエピソードについて、【孫子の兵法】の原文、【孫子の兵法】の超訳、【進撃の巨人】、そして【僕の感想】の順番で紹介していきます。
この記事だけでは伝えきれないことが多すぎますので、まだ、読んでいないのであれば、【進撃の巨人】や【孫子の兵法】の原本を読んでもらえると、この記事で伝えたいことがもっと分かってもらえると思います。
整理整頓ができる人はキレ者
「孫子の兵法」原文
凡そ衆を治むること寡を治むるが如くするは、分数是なり。
岩波文庫 孫子 P64
衆を闘わすこと寡を闘わすが如くすれは、形名是なり。
「孫子の兵法」超訳
大軍団をきちんと組織立てて小部隊のように統制しなさい。
つまり現代社会に置き換えて考えれば、現代人は多くの仕事や用事をこなしている。それらを一つひとつ来た順にやっていては時間ばかり食って、はかどらない。分類・整理して処理したほうが、ずっと効率的に進められるし、頭のなかもすっきりする。その際に必要なのは、鍛えられた整理整頓能力なのである。
三笠書房 超訳孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール P106
「進撃の巨人」
巨人化するエレンを調査するために郊外の廃墟を拠点としなければならない。
そのためにはまずは廃墟を立て直すところから始めるのだが、そこでリヴァイ兵長の綺麗好きな一面が判明するシーン
進撃の巨人 5巻 第20話 特別作戦班
「僕の感想」
組織のリーダーに求められる素養の一つに、やはり「整理整頓」は必須だと思います。
リーダーは時にはたくさんの部下を持つことがあるでしょう。
そしてリーダーとは、個々の部下の能力を把握し、適材適所で活躍させられなければならない存在であるということは言うまでもありません。
身のまわりの整理整頓がおぼつかないようなリーダーに部下をまとめることなんてできるはずがないと思います。
リヴァイ兵長は恐ろしく整理整頓能力が高いから優れたリーダーなのだと理解できます。
状況に適した対応ができる人
「孫子の兵法」原文
凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。
岩波文庫 孫子 P66
「孫子の兵法」超訳
正攻法だけでは、物事はうまく運ばない。状況をよく観察し、それに応じて柔軟に判断・行動することが必要だ。そのためには、多彩な能力を持ち、それらを自在に組み合わせて発揮する準備をしておくことが求められる。
三笠書房 超訳孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール P108
「進撃の巨人」
アルミンと巨人化したエレンが超大型巨人のベルトルトと戦うシーン
進撃の巨人 20巻 第82話 勇者
「僕の感想」
僕はアルミンのこの時の状況判断能力と作戦には本当のリーダーを感じました。
この作戦はエレンが事前にベルトルトの攻撃によって大ダメージを受けていることを利用した「騙し打ち」と、ベルトルトの賢さを逆手にとったアルミンの不可思議な捨て身の攻撃の組み合わせで、ベルトルトの思考を停止させる作戦でした。
アルミンの捨て身という「奇」が「孫子の兵法」とピタリと当てはまります。
リーダーたる者、問題を解決させるために常に状況を把握し、効果的な手段を見出す能力が必要です。
涙無くして見られないシーンです。
流れが変わる前に動ける人
「孫子の兵法」原文
激水の疾くして石を漂すに至る者は勢なり。鷲鳥の撃ちて毀折に至る者は節なり。
岩波文庫 孫子 P68
「孫子の兵法」超訳
ものは勢いだ。堰き止められた水が、やがて岩をも押し流す勢いを持つように力を最大限に溜めて、ここぞの時に勢いよく力を発揮するのがよい。
三笠書房 超訳孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール P108
「進撃の巨人」
巨人が人類生存圏内の壁の中に進入してきた絶望的状況の中、兵士達の士気も底をつく極限状態で、エレンが巨人化できることを知ったピクシス司令官が再び兵士達の士気を高めたシーン。
進撃の巨人 3巻 第12話 偶像
「僕の感想」
士気を失う大勢の兵士達に「明確なビジョン」と「できるかもしれないという希望」を説き、戦いへの勢いを止めてしまわないように、強い言葉を使って同じ方向に向かせられることができるピクシス司令官は正にリーダーであると思います。
これはピクシス司令官が権力者だからではなく、皆を共感させられるだけの的確な状況説明能力と今までに培ってきた人望がそれを可能にさせることなのだと思います。
あえて隙を見せて自分のペースに持ち込める人
「孫子の兵法」原文
利を以てこれを動かし、詐を以てこれを待つ。
岩波文庫 孫子 P70
「孫子の兵法」超訳
事態が膠着してしまったときは、こちらがわざと隙を見せて、相手がそこに食いついてくるように仕向けるとよい。事態はこちらの思う通りに動き出す。
三笠書房 超訳孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール P114
「進撃の巨人」
調査兵団の失態によってエレンの置かれた厳しい状態を利用して、アルミンがアニを女型の巨人であることをあばき出し、捕獲しようとした作戦。
進撃の巨人 8巻 第31話 微笑み
「僕の感想」
調査兵団は先の作戦で知性を備えた巨人の捕獲に失敗しており、政治的に窮地に追いやられ、巨人化できるエレンの身柄が憲兵団に引き渡されてしまう状況となったが、それは何らかの理由でエレンの奪取を目的としている知性を持った巨人にとっても都合が悪い状況になるかもしれない。
この状況を利用し、アルミンは女型の巨人である可能性の高いアニーに対して、エレンを餌に揺さぶりをかけました。
このシーンは、なかなかドキドキする心理戦です。
不利な状況を利用して、逆に目的を達成させるきっかけを作るという機転と状況判断能力は正に「利を以てこれを動かし、詐を以てこれを待つ。」と言えます。
ビジネスでは、交渉などを有意に進めるために使えるテクニックですので、是非身に付けておきたい教えです。
「勢い」が大切である
「孫子の兵法」原文
善く人を戦わしむるの勢い、円石を千仭の山に転がるが如くなる者は、勢いなり。
岩波文庫 孫子 P72
「孫子の兵法」超訳
木や石は平坦なところでは動かないが、急な坂の上などに置けば勢いよくゴロゴロと転がり出す。同様に、組織や人も安定した状態より、危機的な状況にあるほうが勢いがつく。
三笠書房 超訳孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール P116
「進撃の巨人」
以下に紹介するシーンは「孫子の兵法」の反面教師的なストーリーです。
巨人の力を使って植民地を広げていったマール国だが、巨人の力に過信しすぎていたことで、他国の対巨人軍事力の進歩を甘んじていた。
その結果、逆に窮地に追いやられてしまうかもしれないと嘆いているシーン。
進撃の巨人 23巻 第93話 闇夜の列車
「僕の感想」
このシーンは、反面教師として組織のリーダーは肝に命じておくべき教訓であると思います。
正に、僕の今の環境がこれに当てはまります。
僕の勤務している会社は新しいことに挑戦しようとしない「勢い」のない組織です。
ですから、時代とともに少しずつシェアが奪われていっています。
そして、最近になって「ヤバイ」ってことで急に動き始めました。
あまりにも長い年月「勢い」のなかった会社なので、かなり厳しい状況ではありますが、この動き出しによって今までにない負荷が僕にも課せられています。
確かに厳しいですけれども、個人としては成長しているという実感もありますので、「勢い」とはとても大切なことであるとしみじみ思っています。
あらゆる手を使って「結果」を出す人
「孫子の兵法」原文
軍争の難きは、迂を以て直と為し、患を以て利と為す。
岩波文庫 孫子 P90
「孫子の兵法」超訳
行く手に困難が待ち受けていたら、そこを迂回してもよい。ただし、その不利を有利に転じる戦略を練り、あたかもまっすぐに進んだかのように、誰よりも早くゴールに達しなければならない。これを「迂直の計」という。
三笠書房 超訳孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール P138
「進撃の巨人」
巨人との戦いで、ミカサの燃料が尽きてしまい、アルミン、ミカサ、コニーの三人が立ち往生してしまった。
このままでは三人とも生き残れないかもしれないという状況下。
状況を打破するためにアルミンが犠牲になると決断するものの、置いて行けないと意見が割れている。
そんな中、何故か巨人を攻撃する巨人が現れた。
そこでアルミンが敵か味方かも分からない巨人を利用してこの窮地を脱する作戦をたてたシーン。
進撃の巨人 2巻 第8話 咆哮
「僕の感想」
三人の内、一人が犠牲にならない状況で、アルミンはこの先に必要な人材は戦闘能力の高い人間であると判断を下し、自らが犠牲になる決断をします。
この判断も組織的に見ればとても優れたリーダーだからできることなのだと思いました。
僕なら、絶対生き残りたいのでこんな判断は下せないでしょう。
しかし、仲間が「アルミンを置いて行けない」と言い、話が進まない状況となり、では、ということで今の環境を状況判断し、巨人を攻撃する巨人を利用して三人が生き残れる可能性がある作戦を立てます。
その結果、作戦が成功して三人が他の仲間たちと合流できました。
しかも、この時の巨人を利用することに実績を得たことから、巨人を利用することで他の道が開けるかもしれないという希望まで獲得しました。
これは優れたリーダーシップを持つアルミンだからできたことだったのでしょう。
「何が大切かを見抜く力」、「状況を判断して解決策を導く力」があるからこそ、「結果」を出すことができるということですね。
最後に
いかがだったでしょうか。
紹介したように【進撃の巨人】と【孫子の兵法】では通じるものがあるように思えませんか。
【進撃の巨人】を大人が読むと面白いビジネス書になるということを感じてもらえたのではないかと思います。
もちろんのことですが、【孫子の兵法】にはまだまだ紹介しきれない学ぶべき教えがたくさんあります。
また、【進撃の巨人】で描かれている人間ドラマからもたくさん学べる教訓があります。
【進撃の巨人】も【孫子の兵法】の背景は僕たちの住む世界とは全く異なるものではありますが、自分の世界の出来事に置き換えて読むことで一つ上の楽しみ方ができると思います。
【進撃の巨人】を読んだことない人はこの機会に是非読んでみてはいかがでしょうか。
【孫子の兵法】を読んだことない人はこの機会に是非読んでみてはいかがでしょうか。
どちらも、とても勉強になること間違いありません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。