まめさく書店へようこそ。
まめさく書店では、僕こと、しょぼいサラリーマンの豆作(マメサク)が読んだ本をただ紹介する自己満足型のブログ書店です。
今回は『失敗の本質(日本軍の組織論的研究)』について書きたいと思います。
この本はこんな人におすすめ。
- 管理職に昇進したので、管理職の本質が学びたい人
- 組織の失敗から組織論を逆説的に学びたい人
- マネジメント能力を高めて人生に生かしたい人
- 太平洋戦争のことを「組織的な失敗」の切り口から学びたい人
僕がこの『失敗の本質』を読んで、痛感したことがあります。
それは、僕たち平サラリーマンをマネジメントする側の経営者や管理職の立場にある、いわゆるマネジメント職に就く人には絶対に読んでもらい、しっかりと反芻してもらわないといけないと強く強く思いました。
もちろん、僕のような平サラリーマンでもこの『失敗の本質』からたくさん学ぶものがありましたので、結局のところ全てのビジネスマンが読むべき良書というわけなのですが、僕が大きな声で伝えたいことなのでもう一度言います。特にマネジメント職に就く人は読まなければならない本です。
そんなわけで、この『失敗の本質』を僕なりに紹介したいと思います。
本:『失敗の本質』とは
この本は、大東亜戦争中(太平洋戦争)に起きた6つの作戦を例に取り上げ、それを分析し、その戦闘の明暗を分けることになったのであろう要因を組織運用の観点より「失敗の本質」として明らかにした本です。
「ん?大東亜戦争の話?それってビジネス書?」、「大東亜戦争中の失敗の話なんて何年前の話なんだよ。」、「そんな昔の話なんか今の時代の参考にならないよ。」、「大本営・・・、お国のため・・・、非国民・・・はぁ?」とか思いましたか?
確かに大東亜戦争の話ですのでけっこう昔の話です。
本文中に出てくる言葉も少し固くてちょっと難しいです。
軍隊組織の知識がないと登場人物のポジションとか規模感とか分かりにくいです。
しかし、この本で書かれている6つの作戦の背景にある、一言で言えば「組織内コミュニケーションのマズさ」が招いた結果を読み進めるにつれ、規模こそ違えど「あれ?これって自分の勤めている会社の話?」とさえ思えてくるほどの距離感を感じる内容です。
これこそが本書の狙いであり、本書がビジネス書の中でも良書と言われている由縁なのです。
本書に書かれている史実が自分の勤めている会社のことのように思えるということは、終戦から70年以上経った今でも基本的には何も変わっていないんだなっていうことがわかります。
僕は組織の末端に位置する平サラリーマンです。
ということは、現代であっても有事ともなれば・・・。「組織内コミュニケーションのマズさ」によって、僕はおそらく・・・。
そうならないためにも、この本をマネジメント職側の人たちに絶対に読んでもらわなければならないのです。
少しだけ内容を
ノモンハン事件
ノモンハン事件とは「国境」をめぐって日本陸軍とソ連軍+外モンゴル軍との戦いであり、日本陸軍が近代戦において初めて大敗した作戦です。
この作戦を簡単にまとめると「大本営」、「本部」、「関東軍」との間において作戦目的がきちんと共有されずに、あいまいなまま、場の空気感で作戦が進行してしまうなど、コミュニケーションが全く健全に取れていなかったために大きな犠牲を払うことになった作戦です。
また、この作戦で大きな犠牲を払ってまで体験した部隊長クラスの軍人さんの貴重な教訓を、今後に活かすこともないまま「無責任に陣地を放棄した」と非難し、自決を強要し、全てを無にしてしまった作戦でした。
こんなふうに「ノモンハン事件」以外に「ミッドウェー作戦」、「ガダルカナル作戦」、「インパール作戦」、「レイテ海戦」、「沖縄戦」といった僕たちでも聞いたことのあるような作戦についてを、本書の第一章として作戦の開始から大敗までの流れが詳しく書かれています。
そして、第二章では、それぞれの作戦から見える「なぜ、大敗したのか」という【失敗の本質】を分析しています。
第三章でその『失敗の本質』を教訓として、現代の組織のあり方へ課題をしています。
どんなふうに読んでほしいか
タイトルの通り、マネジメント職の人たちに読んでもらいたいので、マネジメント職の人は今の自分のポジションと本書に書かれている6つの作戦の中で登場する様々なポジションの人の立場とを照らし合わせて読んでもらいたいです。
そして、6つの作戦内容を現在の自分を取り巻く環境に変換して追体験して欲しいです。
そうすることできっと『失敗の本質』をリアルに考えることができるはずです。
追体験をすることで、第二章・第三章の内容が私ごとかのように脳に届くはずです。
僕のような平サラリーマンの人たちは、今後の自分のポジションを想像しながら追体験して読んでみてほしいです。
もちろん僕も追体験しながら読みました。
僕なりの感想
「どんなふうに読んでほしいか」に書いたように、僕はそれぞれの作戦に末端兵士として想像の中で参加しながら読みました。
ただ、僕は『失敗の本質』を客観的に知ったうえで作戦に仮想参加していましたので、「何のための作戦何だ?」、「何が目的なんだ?」、「誰のための作戦何だ?」、「なぜこんなにも不十分な指示なんだ?」、「誰が何の責任を持った作戦なんだ?」、「こんな状況で何で命をかけなければならないんだ?」というふうに、とても悔しい気持ちでいっぱいになりました。
現代では命こそ落とすことはないにせよ、平サラリーマンもこのような気持ちになることが多々あります。
当時の兵士さん達がどの程度この「組織内コミュニケーションのマズさ」の実態を知っていたのかは分かりませんけれども、そんな中で命をかけて戦った兵士さんたちに想いを馳せざるを得ません。
僕は「コミュニケーション」に着目して読んでいますが、6つの作戦から導き出された【失敗の本質】には「コミュニケーション」以外にも「慢心」であったり「情報力不足」や「技術面」などにもしっかりと言及されていて、また違った学びもあります。
この本は、読む人の立場によっていろいろな捉え方があり、様々な意見が生まれると思います。
僕は組織の末端の平サラリーマンの立場でこの本を読みましたので、前述したような悔しい気持ちになりました。
この先、僕の立場が変わることがあれば、また違った感想をきっと持つことでしょう。
それまでの間にこの『失敗の本質』は何周もしておこうと思います。
いずれにせよ、世間で言われている通り、この本はビジネス書としてとても良書だと思います。
大東亜戦争で払った大きすぎる犠牲を無駄にしないように、この本には大切な教訓が書かれています。
この本を読んだ人から、その人の立場で、その属する組織にて『失敗の本質』と同じ轍を踏まないように良質なコミュニケーションをとるようにすることで、自分の周りの環境、会社の環境、そして日本が良くなっていくのではないでしょうか。
一読の価値ありです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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