まめさく書店へようこそ。
まめさく書店では、僕こと、しょぼいサラリーマンの豆作(マメサク)が読んだ本をただ紹介する自己満足型のブログ書店です。
さて、今回紹介する本は、2010年12月に発行されてからずっと読まれ続けているロングセラー『イシューからはじめよ 〜知的生産のシンプルな本質〜安宅和人著』です。
『イシューからはじめよ』はこんな人におすすめ。
- 仕事や趣味の生産性を劇的に上げたい人
- 価値あるアウトプットをしたい人
- 無駄なことに時間を割きたくない人
- 仕事にやりがいを見つけたい人
- 圧倒的スキルアップを目指している人
「劇的」とか「圧倒的」などのパワーワードをあえて選んでみました。
それくらい、この本の内容を実践することでアウトプットが激変すると確信しています。
当記事は、そんな『イシューからはじめよ』を読んで、僕なりにしっかり実践しようと思うポイントをまとめてみました。
著者の安宅和人さんってどんな人?
まずは、著者の安宅和人さんが一体どんな人物なのかを知ることで、本書『イシューからはじめよ』のその効果に違いが出てくるかもしれませんので、ご紹介します。
東京大学大学院生物化学専攻修士課程終了 ≫ マッキンゼー入社 ≫ イェール大学脳神経科学プログラムでポスドクを経て ≫ マッキンゼーに復帰 ≫ 現在は、慶應義塾大学 環境情報学部教授 + ヤフー株式会社 CSOに就任 + データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長 + 内閣府総合科学技術イノベーション会議基本計画専門調査会委員 + 官民研究開発投資拡大プログラムAI技術領域運営委員 + 数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会副座長
読むのが嫌になるほどの経歴です。
現在は、「一体何個掛け持ちしているんや!?」ってツッコミたくなるほど様々なところでご活躍されています。
これだけの仕事・役職を兼任できているのには、この『イシューからはじめよ』が安宅和人さんの根底にあるからなのだと思っています。
そんな、超人的安宅和人さんが書いた『イシューからはじめよ』なわけですから、その効果については間違いないと言えます。
さて、安宅和人さんがどんな人なのかわかったところで、『イシューからはじめよ』を僕なりの解釈でまとめていきます。
イシューとは何か?
本書のタイトでもある「イシュー」とはそもそも何か?
1.2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
2.根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
この2つの条件を満たすものがイシュー
・・・・・・。
この定義、なんかちょっと難しい・・・。
しかし、このイシューがなんなのかが分からなければ、イシューからはじめることができません。
イシューとは、簡単に表すと「何に答えを出す必要があるのか」、「解決しなければならない問題は何か」の「何」の部分を指します。
つまり、【イシュー = 課題】とも言えます。
これで、なんとなく、イシューのことが捉えられたと思います。
「バリューのある仕事」
イシューとは解きたい問題についての課題と前項で再定義しました。
その課題の質が高いほど価値の高い仕事だと言えることは理解しやすいと思います。
本書では、その課題の質のことをイシュー度としています。
そして、イシュー度が高く、そのイシューに対する解の質も高いものを「バリューのある仕事」と定義しています。
本書では、「バリューのある仕事」を下図のような図で表しています。
このイメージ図を見ても、なんだか分かるようで分からないといった感じです。
ですから、この図を自分ごとに当てはめて考えてみようと思います。
すると少し理解しやすくなります。
先程の図において、
左下の領域
イシュー度が低く解の質も低い仕事
ニーズに合わないうえに品質が悪くコストが高い製品を開発したといった感じ。
左上の領域
イシュー度は低いが解の質は高い仕事
ニーズに合っていない製品を開発し、コストを抑えて品質を高めたもの大量生産可能にしたといった感じ。
右下の領域
イシュー度は高いが解の質が低い仕事
ニーズには応えられているが、品質が悪いことやコストに合っていない製品を開発したといった感じ。
右上の領域=「バリューのある仕事」
イシュー度が高く解の質も高い仕事
ニーズに適合し、かつ、品質やコストも満足している製品を開発したといった感じ。
この場合のイシューは「ニーズ」です。
ということで、「バリューのある仕事」に最も価値があるということが理解できました。
犬の道
「バリューのある仕事」へ到達するためのアプローチ方法について、本書では左回りの方法を取ることを「犬の道」と呼んでいます。
というか「犬の道」では「バリューのある仕事」へは到達しないとも書かれています。
どんなに「左下の領域」や「左上の領域」の仕事をがむしゃらに頑張っても、そもそもの「的」を外しているわけですから、そりゃあ、「バリューのある仕事」には到達しないことに納得できます。
僕の働いている会社では「犬の道」をがむしゃらに走っている人が評価されているような気が・・・。
脱「犬の道」
本書では「犬の道」を歩むと、
- 永遠に「バリューのある仕事」は生み出せない
- 変化を起こすこともできない
- 徒労感が残るだけ
- かなりの確率で「ダメな人」になってしまう
と書かれています。
「犬の道」しか知らない人が、組織の上に立つと「努力」、「根性」、「残業」、「とにかく働く」といったただの精神論とも言えるようなことが仕事の質を決めると考えます。
本書『イシューからはじめよ』の世界ではそのような考え方を害悪としています。
激しく共感します!!
「犬の道」を歩まないためにも著者は「イシューからはじめよ」と主張し、その方法を示してくれています。
それでは、ここから本書の核心部へと入っていきたいと思います。
良いイシューを見つける
イシューにも「良いシュー」と「悪いイシュー」があります。
当たり前のことですけれども、「バリューのある仕事」をするには「良いイシュー」を見つけることが大切になります。
では、「良いイシュー」とはいったいどんなものなのか?
それは、以下の3つの条件を満足していることが「良いイシュー」です。
- 答えが出せること
- 仮説が立てられていること
- 方向性が決まるもの
ひとつずつ説明していきます。
答えが出せること
極端な例ですが、「エネルギーを全く消費しない自動車を開発すれば、環境問題やエネルギー問題が解決する」といったイシューを立てます。
確かに問題は解決しますが、現時点での科学ではそんな自動車を開発することなんてできそうにありませんよね。
つまり、答えが出せません。
これは、あまりにも極端な例ですが、「こうすれば・・・」「こんなものがあれば・・・」とイシューを思いついたとしても、実現しそうにないものってありませんか?
「科学技術の問題」、「お金の問題」、「人間関係」、「パワーバランス」など実現することができない理由はいろいろありますよね。
残念ながら、どうしても解決しない問題というものは存在します。
ですから、「良いイシュー」とはまずは答えが出せることが大前提なのです。
仮説がある
本書『イシューからはじめよ』を読んで、ここはとても勉強になりました!
ビジネスでも研究でもなんであっても、イシューを決めたらそのイシューについて仮説を立てることが重要です。
なぜなら、仮説を立てなければ、どうやってそのイシューを解決すれば良いのか検討がつけられないからです。
例えば、任○堂のようなゲーム会社が新しいハード機を開発しようとしているとします。
さて、この場合「売れるハード機をつくる」がイシューですよね。
でも、それだけではどんなハード機をつくれば良いのか分かりません。
そんな分からない状態で開発を始めてしまうと、やみくもに高性能化に特化してしまうかもしれません。
結果として、確かに高性能化したことで今までにないほどの高画質のゲームが実現したけれども、価格が大幅に上昇してしまった・・・。
これだと本当に売れるハード機になるのかどうか難しいですね。
ですから、イシューに対する仮説をしっかり立ててじっくりと検証する必要があるのです。
例えば、「若年層のゲーム離れを考えて、メインターゲットを中年層にフォーカスしたハード機をつくると売れる」とか「毎日身につけることでゲームと日常が連動するゲーム機をつくると売れる」などの仮説を立てます。
そして、立てた仮説が正しい(または間違っている)という立場(スタンス)から、その仮説を検証していきます。
スタンスをとることで、その仮説が自分事になります。
自分事になるとある種の責任のようなものがモチベーションとなって仮説の検証の精度を高めてくれます。
立てた仮説について根拠やデータを集めて検証することができれば、イシューに答えを出すことができるようになります。
「売れるハード機をつくる」のような抽象的なイシューであっても、しっかりとした仮説を立てることで一気に具体的になります。
このようにしっかりとした仮説があることが「良いイシュー」の条件なのです。
方向性が決まる
ここまでで、漠然としたイシューだと、何をどのように進めたら良いのか分からないということは理解できました。
だから上記の「答えが出せること」と「仮説がある」ことが良いイシューの条件であることは理解できました。
そして、そのイシューに「答えが出せること」+「仮説がある」のであれば、「Go」か「No Go」かといった次の行動の方向性が決められます。
次の「行動の方向性が決められる」ことが良いイシューの3つ目の条件となります。
良いイシューに良い答えを出すコツ
さて、良いイシューには「仮説」が重要であることが分かりました。
しかし、いくら良いイシューが見つかったとしても、その「仮説」に対する答えの質が悪いと「バリューのある仕事」とは言えません。
ですから、「バリューのある仕事」をするためには答えの質も高める必要があります。
では、答えの質を高めるにはどうすれば良いのか。
本書『イシューからはじめよ』では答えの質を高めるコツも示してくれています。
その中から2つ紹介します。
ここも、本当に勉強になります!
- 一次情報に触れる
- 集めすぎない・知りすぎない
それでは、少し深掘りしてみます。
一次情報に触れる
一次情報とは、誰のフィルターも通っていない「生」の情報のことを言います。
これは分かりやすいですね。
具体的には、「現場の声を聞く」や「現場を体感する」といったことです。
これって当たり前のようなことですが、意外とできないことですよね。
みなさんはこんな感じで、仕事を進めていたりしませんか?
- 常識だと思い込む
- ネット情報を鵜呑みにする
- 本の情報が正しいと信じる
- 上司の意見を正しいと思い込む
おそらく、心当たりがあると思います。
僕は、しょっちゅうこのような思考で仕事を進めたり、物事を判断してしまっています。
その方が楽ですからね・・・。
でも、これらは二次・三次情報ですので、なんらかの意図が入っていると著者は言います。
ですから、あくまで参考程度にとどめておく方がベターというわけです。
本気で「バリューのある仕事」をしたいのであれば、自ら現場に行って一次情報に触れることが答えの質を高めるためには大切なのです。
集めすぎない・知りすぎない
何を集めすぎ、知りすぎてはいけないのか。
それは、一次情報にせよ二次・三次情報にせよイシューの答えの質を高めるための情報を集めすぎ、知りすぎてはいけないと著者は言います。
えっ?なんで?たくさん情報や知識はあった方がいいのでは?
確かにそう思いますよね。
しかし、本書では「集めすぎ」と「知りすぎ」がよくないことを以下のように説明しています。
集めすぎ
著者は、情報を集めるために費やした時間に対して、実行的な情報の量はあるところから比例の関係ではなくなると言います。
本書では以下のような図でこのことを表現しています。
つまり、たくさんの情報を集めたけれども、集めた情報の全てが価値を生み出すために必要な情報ではないということです。
これはなんとなく分かる気がしますね!
答えを出すために費やす時間も大切な価値提供なわけですから、無闇に情報を集めて時間を浪費しすぎないようにしないといけないとも言えそうです。
知りすぎ
情報を集めていくなかで、それに伴って知識も増大し、知恵が湧いてきます。
しかし、著者は情報量(=知識量)がありすぎると知恵が出てこなくなってくると言います。
本書ではそのことを、下図で表現しています。
なぜ、知りすぎると知恵の量が減っていくのか。
著者は、このことを、すでに十分な知識を得ている状態では、知恵を働かせる前に持っている知識で解決しようとするからだと言います。
湧き出てくるたくさんの知恵が「バリューのある仕事」の原石のようなものだと言えますので、情報量や知識量が多いと知恵が湧かないというわけです。
今の僕は、知識が多すぎる状態になんてなったことがないので、少し理解が難しいところではありますが、たぶんそうなんだろうと納得しています。
数学の問題なんかで、公式を知っていれば迷うことなく回答ができるけれども、公式を知らない状態で回答しようとすると、いろんなアプローチ方法を考えますよね。
この時、考え出すアプローチ方法に価値が生まれるといった感じでしょうか。
まとめ
ここまでで、本書『イシューからはじめよ』の全5章のうちの【第1章 イシュードリブン:「解く」前に「見極める」】です。
第1章だけでもかなり勉強になる内容でした。
そして、第2章からは、イシューを形にしていくプロセスに入っていきます。
- 第2章 仮説ドリブン①:イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
- 第3章 仮説ドリブン②:ストーリーを絵コンテにする
- 第4章 アウトプットドリブン:実際の分析を進める
- 第5章 メッセージドリブン:「伝えるもの」をまとめる
これまた、各章、勉強になりっぱなしの内容です。
本当に本書は勉強になりましたし、今まで読んできたビジネス書の中でもトップクラスの良書だと思います。
思考法の本は、この一冊だけ読めば良いとさえ思います。
ただ、結局のところ読んだだけではダメなのです。
しっかりと本書『イシューからはじめよ』で学んだことを実践しなければ意味がありません。
最後に著者の言葉を紹介しておきます。
「僕は今、自分にできる限りの深いレベルまで、知的生産におけるシンプルな本質を伝えた。あとは、あなたが自分で経験する以外の方法はないはずだ。」
結局のところ、食べたことのないものの味はいくら本を読み、映像を見てもわからない。自転車に乗ったことのない人に乗ったときの感触はわからない。恋をしたことのない人に恋する気持ちはわからない。イシューの探究もこれらと同じだ。
『イシューからはじめよ』p.238
正にその通りだと思います。
『イシューからはじめよ』は間違いなく、一読する価値のある良書です。
あなたも『イシューからはじめよ』を読んで一緒に頑張りましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。