まめさく書店へようこそ。
まめさく書店では、僕こと、しょぼいサラリーマンの豆作(マメサク)が読んだ本をただ紹介する自己満足型のブログ書店です。
今回、紹介する本は『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』著:尾原和啓です。
この本はこんな人にオススメです。
- 自分を変えるヒントが欲しい人
- これからの時代の価値観を知りたい人
- 中堅サラリーマン
本書を紹介するにあたって、プロセスエコノミーの定義を確認しておきます。
ここで言うプロセスとは、そのままプロセスでもあり、理念でもあり、意味などを指します。
そして、そのプロセスに共感を得ることでファンになってもらうという考え方です。
なるほど。
商品の背景のようなものを売るんですね。
プロセスエコノミーの概念は理解しました!!
それでは、本書を読んだ僕なりのまとめを紹介していきます。
なぜ、プロセスエコノミーなのか
なぜ、今、プロセスエコノミーなのか。
それは、これからの時代は市場が二極化していくからだと著者は言います。
これからは、商品のクオリティーのちょっとした差異だけではモノは売れない時代になります。
インターネットで調べることが当たり前の現代では、本当に良いものや役に立つものを自分で探して購入することができるようになりました。
そしてその際、本当に良いものや役に立つものであれば MADE IN 〇〇 なんてこだわらずに購入します。
どんどん後発商品が高品質・低価格で世に出てきていることはすでに実感していると思います。
このことを商品を売る側の立場から見れば、市場がグローバル化すると共にクオリティー勝負が激化していると言えます。
このような市場のことを、著者はグローバル・ハイクオリティーと位置付けています。
グローバル・ハイクオリティーの市場は世界が競合ですので、生き残ること自体が難しいことは火をみるより明らかです。
そして、もう一つの市場は、限られた集団に対してその集団の価値観にマッチした商品を売る市場です。
この市場を著者はローカル・ロークオリティーと位置付けています。
ローカル・ロークオリティーとは言え、クオリティーが低いというわけではありません。
この市場では、その商品が「役に立つ」ということよりも「意味」があったり、作り手の企業に「理念」があることが重要になります。
この市場は消費者がモノや企業の持つ「意味」や「理念」に共感することで商品が売れる市場です。
このグローバル・ハイクオリティーやローカル・ロークオリティーについて本書では下図のような面白い図で紹介していました。
縦軸は「役に立つ」か「役に立たない」、横軸は「意味がある」か「意味がない」で区切っています。
ここで言う「役に立つ・立たない」とは「品質の良し悪し」や「機能の優劣」と捉えると分かりやすいかと思います。
左上の「役に立つ」けど「意味がない」ものは世の中にそんなにたくさん種類はいりませんよね。しかし、ここのエリアがグローバル・ハイクオリティーで競走しなければならないエリアです。
右上の「役に立つ」し「意味がある」ものは価値あるものとしてこれからも売れ続けることは間違いないエリアです。
右下の「役に立たない」けど「意味がある」ものは、一部のファンなどに愛されることでこれからも売れ続けるエリアです。このエリアがローカル・ロークオリティーに位置付けられます。
この図は感覚的にとても理解しやすいですね。
さて、これからの市場はグローバル・ハイクオリティーか、ローカル・ロークオリティーの二極化になていくことは分かりました。
そして、必然的にそのどちらかの市場で戦うかを選択しなければなりません。
とは言え、グローバル・ハイクオリティーの市場で戦うには商品開発費や大量生産設備の拡充など、圧倒的資本力が必要ですので大企業の主戦場となります。
ですので、資本力のない企業や個人などはローカル・ロークオリティーの市場を主戦場とするしかないということです。
しかし、これまでと同じように商品を作って売るだけでは、ローカル・ロークオリティー市場であってもいずれ淘汰されるでしょう。
だから、プロセスエコノミーが重要になってくるというわけです。
プロセスエコノミーの重要性が納得できました!
「正解主義」から「修正主義」へ
プロセスエコノミーという考え方は理解できました。
しかし、プロセスを先に公開するなんて僕たちには、なかなか抵抗があるのではないでしょうか?
どちらかと言えば、ちゃんとした完成品(正解)を世に送り出すことが当たり前だと思っていませんか。
正解か不正解かもわからない状態でプロセスを他人に見せることにはちょっと抵抗が・・・
それもそのはずです。
これには、学校教育が関係していると本書では書かれています。
日本の学校教育は、たった1つの正解へ向かって突き進む正解主義にとらわれています。先生も生徒も「正解をいかに導き出すか」という常識にがんじがらめになっているのです。
『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』P.79より
う〜ん。確かにそんな気がしますね。納得です。
少し前までの時代なら誰かが決めた「答え」に向かってひたすら猛進する「正解主義」が、上手に生きていくための「正解」だったのだと思います。
しかし、現代のように変化の激しい時代では「正解」もすぐに変化しています。
「△△が正解だ」と定義したところで、変化が激しい時代には、その定義自体が変わることが多々あります。
『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』P.79より
ならば、修正することを前提にしたほうがいい。(中略)多様な人からフィードバックを受けながら柔軟に修正していけばいい。正解主義という固定概念から離れて、修正主義へ移行していくことが大事。
プロセスエコノミーの考え方は正解を出すのではなく、正解を導き出す過程を共有することを目的としています。
ですから、プロセスエコノミーを実践するならば、その過程で修正をすることがたくさん出てくるはずです。
プロセスエコノミーの概念を身につけるには、まずは修正主義を受け入れることだというわけです。
プロセスエコノミーは「why?」を共有することが大切
ここまでで、プロセスエコノミーがこれからの時代を生き抜くために必要な考え方だということが分かったかと思います。
それは分かったけど、プロセスエコノミーを実践するにあたって、ただ単に何でもかんでもプロセスを共有(公開)するだけでいいの?
それはダメです!
やみくもにプロセスを共有(公開)しても意味がありません。
この共有のしかたがプロセスエコノミーの一番重要なポイントだと思います。
プロセスの共有には「なぜそれをやるのか」という、「why?」が絶対に必要だと著者は言います。
「why?」とは、それをやる「哲学」や「こだわり」、「理念」や「信念」のことです。
そして、この「why?」が人の心に刺さることではじめてプロセスを共有した意味が生まれます。
「why?」を共有したマーケティング成功例として、あのスティーブ・ジョブズがナイキを挙げていることが本書で紹介されています。
世界が目撃した最高のマーケティングはナイキによる広告です。思い出してください、ナイキはコモディティを売る会社です。靴を売っているのですよ。
『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』P.104より
でも、ナイキのことを考えたとき、単に靴会社だけではない感情を覚えるはずです。ナイキは広告で、プロダクトについて一切語りません。エアソールについて語ったり、リーボックのエアソールより優れている理由を語ったりすることはありません。
では、ナイキは広告で何をしているのか。彼らは偉大なアスリートを讃え、スポーツの素晴らしさを讃えています。それが彼らであり、彼らが存在する理由なのです。
このナイキの話に、プロセスエコノミーの本質が見えていると思います。
このナイキ話を知った僕には、ナイキの靴が格好良く見えはじめました。
これはナイキの「why?」を共有したからなのだと思います。
みなさんも、なんとなくナイキの靴が格好良く見えてきたのではないでしょうか?笑
このように、プロセスエコノミーには「why?」がとても重要なのです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
プロセスエコノミーを理解するために大切なポイントだと思った箇所を本書からピックアップして紹介しました。
個人的にプロセスエコノミーという考え方にはとても共感が持てました。
冒頭にも書きましたが、「自分を変えるヒントが欲しい人」には是非読んでほしい一冊です。
と言うのも、本書を読んでプロセスエコノミーとは、モノ・サービスを売るための方法だけには留まらないからです。
プロセスエコノミーは自分をプロデュースする方法でもあると思います。
数年前から、YouTube で Vlog という動画配信者の日常生活を切り取ったコンテンツが流行っています。
まさに、Vlog は動画配信者のライフスタイル(=プロセス)を公開し、そのライフスタイルに共感する視聴者がその動画配信者を応援することで成り立っています。
この Vlog というジャンルも、プロセスエコノミーを感じる一つの例ではないでしょうか。
このようにプロセスエコノミーの考え方を取り入れることで、「最近毎日なんだかつまらないなぁと思う生活」を変えることができると思います。
仕事でも、家庭でも、趣味でも、どんなことでも。プロセスエコノミーの活用次第で自分を変えることができると思います。
本書『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』が気になった方は、ぜひ読んでみてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。